Astro Berlin Pan-Tachar 50mm f1.8
 

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo

製造年 : 1940-41年ごろ
レンズ構成 : 4群4枚

Production : c1940-41
composition : 4group 4lens

Lens Impression

Astro-Gesellschaft Bielicke & Co(アストロ・ベルリン)社は、1922年にWilliam F. Bielicke(ビーリケ)、Hugh Ivan Gramatzk(i グラマツキ)、von Otto(オットー)の3人によってドイツ、ベルリンのWilmersdorfに株式会社として設立された会社です。会社名にも表示されているビーリケは数学者で、それ以前に英国ロス社、英米のボシュロム社で勤務していた経験があり、会社設立時41歳でした。会社の技術面はビーリケが担当し、同社の看板レンズとなるTachar(タハーもしくは、タッカー)、Tachon(タホンもしくは、タコン)などは彼が設計したものです。
インド出身のグラマツキは天文学研究者で天文写真家でもありました。オットーについては情報が少ないですが、財務・経理面など企業の内部管理を行っていたと考えられます。

ビーリケはロス社在籍時代の1912年に望遠タイプのアナスティグマートレンズを設計(GB191202347)しており、また米国でボシュロム在籍中もテレフォト型で短鏡胴のペッツバールタイプのレンズ(US1202021 (A))や、テッサー型のレンズ(US1558073 (A))を設計 しています。そして彼が4番目に特許申請したのが、4群4枚構成のタハー・レンズとなります。
このレンズ構成は英国Cooke社でオピックやスピード・パンクロなどの設計で名高いH.W.リーが特許を取得したSpeedicレンズに非常に類似しています。リーの英国での特許申請が1924年2月7日、ビーリケのタハーのドイツでの特許申請が1924年2月23日という日付は何を意味しているのでしょうか?リーはビーリケより8歳年下ですが、ビーリケがロス社で最初の特許を取得するなどの活動をしていた1913年にテイラー・ホブソン社に入社しており、ロス社とテイラー・ホブソン社の関係から、二人に何らかの繋がりがあった可能性も否定できません。
 アストロ・ベルリン社のレンズは映画業界でも認知され、業態を拡大していきましたが、第二次世界大戦前後では軍需関係の比率をかなり高めたようです。しかし、そのあたりの記録はほとんど残っていません。アストロ・ベルリン社の工場施設は大戦終了の1週間前というぎりぎりのタイミングで完全に破壊されてしまったのです。

1948年に通貨改革が行われ、国全体の経済・財政の戦後混乱が落ち着き始めたころ、かつての技術を生かして再度映画業界を中心に活動を再開させています。会社再建を実行したのは、創立者のひとり、オットーの息子で報道カメラマンの経験もあるFritz Joachim Otto(F.J.オットー)で、まだ人々の記憶にも残っていた、Pan-Tachar(パン・タハー)レンズ、1930年代にグラマツキが世界で初めて開発に成功していたTransfokatorというズームレンズ、そして最も得意とする望遠レンズでは再設計された高性能レンズが報道分野、探検、ルポタージュなどの分野に出荷されていきました。 F.J.オットーは1987年まで経営責任者を務めましたが、彼の引退後、同社は有限会社となり、わずか4年後の1991年に解散することになります。その後一部の従業員とノウハウはEKOS(Entwichlungund Konstruktion Optischer Systeme) GmbH, Berlinに引き継がれました。

開放ではかなりのソフト描写で、中心画像もかなりの滲みが見られます。周辺は適度?にぐるぐるが出ますが、Kino-Plasmatほどの強さはありません。絞るとかなりくっきりとした画像になりますが、硬すぎるという感じはありません。日中ではちょっとマゼンダかかる傾向がありますが、かなり古いレンズなので、仕方ないと思います。
むしろ滲み具合とぐるぐる具合が適度に混合して出てきますので、この趣味レンズとしては、これからかなり使い勝手があると思います。

A description at full aperture is soft and can be seen considerable blur even in the center of image. It shows moderate? Swirling bokeh around the peripheral area, but doesn't have strength of Kino-Plasmat. Though it becomes sharp when closing diaphragm, there is no touch of feeling too hard. It tends to appear the color of magenta a little stronger in the daytime, but I think it is no abnormal because it is a considerably old lens. Since conditions are moderately mixed with blur and swirling bokeh, it comes out, as this hobby lens, I think that it can be a useful and easy to use lens from now on.

 Photos with Astro Pan Tachar 50mm
 
2020
Nishiarai Daishi
(西新井大師)
コーティングがないことも含めて、かなり逆光に弱いので、撮影後フレアの調整が不可欠です。
いかにもオールドレンズらしい描写を示すのですが、突出したキャラクターが見つけ出せないため、なんとなく
使いにくいレンズになってしまっているのは、レンズではなく自分自身のせいでしょう。

タコ滑り台も健在でしたが、デザインは一新されていますね。近くには子ダコのオブジェもできてました。
この近辺はどんどんモダンで小ぶりな一軒家に建て替わってしまっており、町の特徴をつかむことは難しいですが、
時々昭和の家も姿を見せ、のんびり散策するにはうってつけかもしれません。
2015
Bali Island
(バリ島)
神像 Idols

人々people

光景 scene


初めてバリに行きました。海もきれいですが、やはり独自の文化遺産に興味が湧きます。寺院はもちろんですが、むしろ道端にある多くの宗教的な物品を販売している店からも強く感じられました。
今回は自由時間があまりなかったため、表面的な撮影しかできませんでしたが、ぜひもっとゆっくりと訪れてみたいところでした。
パン・タッカー50mmf1.8は、典型的なオールドレンズの特徴を十分見せてくれました。特に開放の神像写真では、背景にその収差が色濃く表れ、楽しいレンズだと再確認しました。

This was my first visit to Bali. The ocean is beautiful of course, but I had rather more interest on its original cultual heritage. I felt such feelings from shops along the roads selling religious goods as much as temples.
As I had little free time to spend, I could take superficial photos only, so I would like to visit again to spend loose time.
Asto Berlin Pan Tachar 50mmf1.8 shows enough taste of typical old lens. You can find its description of aberrations on photos of Idol statues taken at full aperture and confirmed it is such fun lens again.

2008
Covent Garden
(コベントガーデン)
周辺のぐるぐる、コマ収差、滲みなど、非常に楽しませてくれる画像です。昼の撮影では少しフレアが多すぎるようですが、これはレンズ構成上の収差というよりもクモリの影響が強いようです。将来的には一度レンズのクリーニングに出した方が良いのかもしれません。

These are the pictures which amuse me a lot by the peripheral swirling bokeh, comatic aberrations, and blur. It seems that this shows much flare in photos taken in daytime, it comes mainly from strong influence of clouded glass rather than aberration on lens composition. I had better send it to the cleaning in the future.

2008
OXO Tower
(オクソ・タワー)

夜間の撮影をすると、このレンズの特徴がよく表れます。全体的な滲み傾向、2枚目に見られるような「ぐるぐる」の収差などなど。特に最後の作例は、縦長の写真の上部を切り取ったものですが、光源のbokeの中に様々な収差による特徴が見事にでています。光源の円周部分がかなり明るくなっておりますので、もともと存在する球面収差をかなり補正しているようです。また周辺に行くに従って、円周状にbokeがつぶれます。口径食もありますが、多くは非点収差のようです。また同様に周辺に向けて、円周上の光輪のより明るい部分が上方に集まっていますので、多少のコマ収差も残っているようです。

Characteristics of this lens appear well when I photograph the night. The condition of blur seen in general tendency and the swirling bokeh to be seen in the second picture. The particularly last example is which cut the upper part of a lengthwise photograph, the characteristic by various aberration appears in bokeh of the source of light wonderfully. Because the circumference part of the source of light becomes considerably bright, it seems that the originally existing spherical aberration has considerably corrected. Moreover, bokeh collapses as flat as going to the surrounding, I think much are from the astigmatism though there are also some vignetting. In addition, the some comatic aberration seems to stay because the brighter halo of bokeh in peripheral area gathers above likewise towards the outskirts.

2007
Portobello Market
(ポートベローマーケット)
Ebayで購入したものですが、Astro Berlinアストロベルリンは望遠レンズが多いなかで、標準レンズしかもMマウントになっているということで、入手いたしました。
これは、なかなかの滲みレンズです。開放での滲み具合、周辺のぐるぐる度合など、かなりいい感じです。感覚的には、Kino-Plasmatキノプラズマートと、Angenieuxアンジェニューの中間的な描写だと思います。

While there are many telephoto lenses in Astro Berlin, this lens is a standard lengs so I decided to buy in ebay and also in Leica M mount. This is quite a ‘bokeh lens’. The condition of blur in full aperture, and the swirling bokeh in the circumference are the quite good touch.

 
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