Victor Chevalier lens (made in 1841-1845) lens
 

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo


製造 1841-45年頃

レンズ構成 3群4枚 ペッツバール型

最短撮影距離 装着カメラによる

重さ 45g(スクリューマウント)
   106-170g(バヨネットマウント)
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Lens Impression

ヴィクトール・シュバリエ(Louis Victor Chevalier 1812-1870est)と言う名前は聞きなれない方も多いでしょう。
実際、写真レンズ関連ではほとんど歴史上に登場することはありません。
今回のレンズも、筆者が唯一確認できたヴィクトールの刻印が入った「写真用レンズ」です。

ヴィクトールは、世界初の写真用レンズを開発し、ジルー商会ダゲレオタイプカメラに装着されたことで歴史上に名を残した「シャルル・シュバリエ」の従兄弟に当たります。
シャルルの父ヴァンサン・シュバリエと、ヴィクトールの父ルイとは兄弟でした。
ヴァンサン一家が顕微鏡を中心として光学工房を営んでいたのに対し、ルイ一家は気圧計や日時計などを主に製作していましたが、工房は極めて近く、同じ「Quai de l'Horloge」の数軒違いの並びでした。

主業が光学関係ではなかったため、過去の文献でもルイ一家が写真用レンズを製作していたという記録は見たことがありませんでしたが、偶然オークションサイトでこのレンズを発見、Chevalierの刻印の前にVictorと刻まれていて驚くことになりました。
しかも、住所「77 Quai de l'Horloge」がしっかりと記入されています。
ルイ一家がこの住所に工房を構えていたのは1941-45年頃と言われていますので、このレンズはまさにその頃の製作と特定できます。

写真が発明されたのが1839年ですから、そのわずか数年後に作られた極めて初期のヴィクトールのレンズ。一体その後何本のレンズが作られたのか?
全く不明ですが、マーケットに全く姿を見せないことからも、かなり少数だったことが想像されます。。


 Photos with Victor Chevalier lens
2023
Just one shot
(試写)
初期ペッツバールらしい柔らかな描写です。
それでも中心部にはしっかりとピントが来ており、周辺は像面湾曲によるぐるぐるとした流れが見られます。
今回の試写ではイメージサークルの一部しかカバーしていないため、ぐるぐるはわずかしか観察されませんが、全体ではおそらくかなり派手な描写を示してくれそうな気もします。、
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