Carl Zeiss Anastigmat 5cm f4.5
 

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo

発売:1896年
構成:2群4枚
設計者:Paul Rudolph


製造本数が極端に少なく、極めて珍しい、5cm f4.5のアナスティグマートレンズである。
その開発の経緯と特性は以下の通りである。

1888年にCarl Zeiss社の社長となったErnst Abbeは同社の労働環境に画期的な改善を行った。
1889年に「カール・ツァイス財団」を設立し、株式を財団に委嘱、1896年には有給休暇や退職金制度を導入、1900年には8時間労働制へと移行させた。
そうした中、Abbeの部下の設計者として頭角を現してきたのが、1858年生まれのPaul Rudolphであった。

1890年ルドルフは、当時開発されたばかりのショット社の新ガラスと、従来からの旧ガラスを組み合わせた、高性能のレンズを開発した。
非点収差までを無くすことが可能とされたことから、「Anastigmat」と名付けられた画期的なレンズの登場である。

レンズ接合面の性質
@ より屈折率の高いガラスが凹で、低いガラスが凸になる貼り合わせ(屈折率の低いレンズが出っ張る形)
   ⇒ 「発散性」「球面収差補正」
   ⇒ 凸の曲率が上がり、凹レンズとのパワーバランスの差が「非点収差増加」「ペッツバール和増加」方向に。
A より屈折率の高いガラスが凸で、低いガラスが凹になる貼り合わせ(屈折率の低いレンズが引っ込む形)
   ⇒ 「収斂性」「球面収差悪化」
   ⇒ 凸の曲率が下がり、凹レンズとのパワーバランスの調整がやりやすいため「非点収差補正」
「ペッツバール和減少」方向に。

新ガラスの特性を最大に発揮させた高性能レンズ。2つの接合面に前群=発散と後群=収斂という相反する作用を持たせ、対称型レンズの利点(コマ収差・倍率色収差、歪曲収差の自動補正)を保持しつつ、すべての収差のバランスをとった。
レンズ外郭の形状で非点収差の発生を抑えつつ、前群の旧ガラス色消しレンズの発散性の貼り合せ面で球面収差を補正し、後群の新ガラス色消しレンズの収斂性貼り合せ面で像面の平坦化と非点収差の補正を行っている。(ルドルフの原理)
ただし、両群とも分散の差が比較的少ないガラスの接合であるために、接合面の曲率は強めで、当時の大型カメラの焦点距離でなく、小型カメラの画角においては周辺の画像に限界があった。

アナスチグマートは商品名であったが、他メーカーが非点収差ゼロのレンズの名称として使い始めたため、
1900年、明治33年にプロターと改称。


 Photos with Carl Zeiss Anastigmat 5cm f4.5
 
Comment
2025
Nara
(奈良)
奈良に行ったら、ぜひ訪れてみたい場所がありました。それは斑鳩の法起寺周辺。数十年前に訪れたときに畑の真ん中から見えた三重塔の光景が忘れられなかったのです。
いざ到着してみると、記憶の中の風景とはちょっと違っていましたが、まだ周辺は畑に囲まれており、民家やビルが建つこともなく素晴らしい景色でした。
そして、もう一つ訪れたのが慈光院です。花の寺というわけではありませんが、客殿で抹茶といただきながらゆったりと庭を眺める静かな時間が過ごせます。
画像にも載せましたが、庭の椿を中心とした饅頭型の生垣が見事で、その上に見える1本の桜とお堂との景色は見事でした。
2025
Kyoto
(京都)
東寺の蚤の市(弘法市)から京都駅まであるくと、まだ民家が残る地域を通ります。ただ、海外からの観光客も増えたため、この辺りもプチホテルのようなものがだいぶ増えてきているようですね。
ツァイス・アナスティグマートレンズはf4.5とそれほど明るいレンズではありませんが、このような風景ではそのしっとりとした描写が良く似合うようです。
京都駅を超えて北に向かうと、出町柳駅のすぐ近くに長徳寺という寺があります。中の拝観は出来ませんが、門前には見事なおかめ桜が満開の花を咲かせていました。
 
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